脳卒中と廃用症候群

今回のテーマは、「廃用症候群」についてです。廃用症候群を予防することは、寝たきりを予防することにもつながります。廃用症候群という名前を始め聞く方でもわかりやすく症状や予防方法にまとめましたので、一緒に廃用症候群についての理解を深めましょう。

脳卒中後にも起こりうる廃用症候群とは?

廃用症候群は「生活不活発病」とも呼ばれます。脳卒中や骨折など原因でベッドでの安静状態が長期間続いたり、加齢による筋肉の萎縮や関節の痛みから運動量が減ることで廃用症候群は発症します。廃用症候群は身体能力が大幅に低下することで、様々な機能低下が起こります。全身の身体機能に悪影響をもたらし、最悪の場合は寝たきり状態となってしまうことがあります。次に廃用症候群の症状について説明します。

廃用症候群の症状

運動器障害

運動器障害の中には、筋萎縮、関節拘縮、骨委縮などが含まれます。

・筋萎縮:不動により筋肉を動かさないと筋肉がやせ細ってしまいます。

・関節拘縮:関節が固まってしまい関節本来の動きに制限が見られてしまいます。

・骨委縮:人は立ったり、座ったりすることで、筋肉や骨を強くします。日常生活を送っている高齢者の方でも筋肉や骨がもろくなってきます。長期の安静期間が続くとこれらは、さらに進行を進めます。

循環・呼吸器障害

循環・呼吸器症状には、心肺機能低下、誤嚥性肺炎、血栓塞栓症などが含まれます。

・心肺機能低下:体を動かす機会が極端に減少することで、軽い運動でも心臓に負担がかかり息が上がったりします。

・誤嚥性肺炎:寝たきり状態では、喉周りにある飲み込みに必要な筋肉も痩せてきます。飲み込みの力が弱くなると食物を飲み込む際に気管の方に流れてしまい肺炎を引き起こしてしまうこともあります。

・血栓塞栓症:血管に血液の塊が詰まってしまう状態。

自律神経・精神症状

・うつ病:精神的に落ち込み、意欲、興味、活動が低下、食欲低下、不安、などを特徴とした精神症状がみられる。

その他

・褥瘡:床ずれともいう。長時間同じ姿勢で圧迫を加えられ続けることで、血行不全となり組織が障害を受け壊死する状態を指します。

廃用症候群を予防するためには?

・体を動かす/起こす

廃用症候群を予防するために一番重要なことは、体を動かすことです。例えば、歩くことは出来なくても座ることが出来るのであれば、座っている時間を作りましょう。座ることで、体を支えるための筋肉や体重を支えるための関節、骨など全身を自然と使うことが出来ます。病気や症状、施設の環境によっては座る時間を確保するのが難しいこともあります。その場合は、体の同じ部位に圧が高まらないように体位変換を行ったり、可能な範囲で手足の運動を行うことも効果的です。

・食事による栄養面

廃用症候群になりやすい方の特徴として、低栄養が挙げられます。筋肉を維持したり、体を動かすためにはエネルギーが必要です。特に筋肉をつけるためには、たんぱく質を摂取することを心がけましょう。タンパク質は肉類、乳製品、豆類に豊富に含まれます。たんぱく質以外にも栄養バランスを考えて摂取することが大切です。医師や管理栄養士のアドバイスを聞くことが出来るとよりその方にあった食事を提供することが可能となります。

・自分でやれることは自分でする習慣をつける

ベッド上での生活が長くなると自分でやれることも誰かにお願いしてしまう事がよくあります。そのため、介護者は介護が過介護になりすぎていないか注意しましょう。自分でやれることを増やしていけると、リハビリの意欲も上がってくるかもしれません。体位変換の時に少し力を入れるだけでもその後の生活は大きく変わってきます。

今回は、脳卒中後に起こりうる廃用症候群についてお伝えしていきました。廃用症候群はなってしまう前の予防がとても重要ですので、今回お伝えした内容を踏まえて生活を送って予防に努めていきましょう!

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