麻痺した筋肉のストレッチは○○を意識しろ?!

脳卒中リハビリで行うストレッチで考えなければいけないこととは?!

骨格筋を速やかに伸張すると筋紡錘が興奮します。それから発する求心性インパルスが脊髄に伝導されて、直ちにその筋への運動ニューロンに伝達され、伸張された筋が収縮します。これを伸張反射といいます。

難しい表現をしましたが、伸張反射とは脳梗塞や脳出血の方に対するリハビリを行う上でとても重要です。この伸張反射を利用したリハビリもあるぐらいです。それを少しまとめてみましたので、みなさんのリハビリに少しでも参考になればと思います。

伸張反射は大部分単シナプス反射で同分節同側の前根に限って現れます。つまり、右なら右側で反応し、その同じ側だけでしか出現しないということです。伸張反射の主な機能は、筋肉に働いた外力に抗する力を発生させることで関節を固定して姿勢を保つことにあります。

リハビリの場面では、伸張反射を発生させるために腱を叩く方法がよく用いられており、これを腱反射といいます。有名なもので、アキレス腱反射や膝蓋腱反射などがあります。膝蓋腱反射は巷でいう、脚気検査のようなものですね。腱反射は相動性伸張反射の一種であり、正常な状態で観察されるものです。速い伸張刺激が必要です。

伸張反射は時期的にも、伸張期の相同的反応相と伸張持続期の持続的反応相に分けられます。相動的反応相を相動的伸張反射、持続的反応相を緊張性伸張反射といいます。健常なヒトでは力を入れないように指示しておけば、緊張性伸張反射は通常では見られません。筋緊張の亢進状態には固縮と痙縮と呼ばれるものがあります。それらは伸張反射が亢進している点では両者は共通しています。しかし発現の機序は必ずしも明確ではないです。

固縮とは筋緊張が常に入っている状態で、筋肉が絶えず放電しています。痙縮は相動性であるため、引き伸ばしているときだけ放電しています。両方とも通常では放電しないものであるため、いわば勝手に力が入ってしまっている状態なのです。一般に脳梗塞などの後遺症からくる麻痺は痙縮を呈すことが多く、固縮はパーキンソン病などのいわゆる錐体路と呼ばれる運動を司る神経ではない神経が障害された場合に起きます。固縮の場合は、伸張の速度には関係なく伸張された長さによってインパルス増強が起きます。痙縮の場合は、伸張の速度が問題になるため、ゆっくり伸張してあげればインパルスの増強は起きません。つまりリハビリの中でも、ストレッチを行う場合は、速さや長さを意識しなければならないということになります。ただ闇雲に伸ばそうと思ってストレッチしても、逆に筋緊張を亢進させてしまっている可能性があります。自分の状態と病態をしっかり理解し、最適な運動を身につけましょう。

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