クモ膜下出血とは

クモ膜下出血とは〜予後を決定する3つの要因〜

みなさんこんにちは。カラダの先生 森です。今回は、くも膜下出血に関してまとめてみました。くも膜下出血の最も恐ろしいこととはなんでしょう?みなさんは、くも膜下出血をご存知でしょうか?

昨年は、ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川氏が解離性脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で入院してたとのニュースが取り上げられていました。globeのKEIKOさん、歌手の星野源さんも過去に「くも膜下出血」を患った芸能人です。

つまり、今回のテーマである「くも膜下出血」は私たちの身近な病気であるということです。では、くも膜下出血とはどのような病気なのでしょうか?

クモ膜下出血とは?

脳を包んでいる膜に軟膜、くも膜、硬膜というものがあり、くも膜と軟膜のすき間はくも膜下腔と呼ばれています。このくも膜下腔に出血を起こした状態がくも膜下出血です。原因としては脳動脈の一部がコブのようにふくらんでできた動脈瘤の破裂によるものが大部分です。この動脈瘤が脳にあることが分かった場合、これを治療するかどうかがカギとなります。目安としては、瘤の大きさが5mm以上あり、形が不整形であり、70歳以下の歳以下の方の場合は治療適応となります。一方、70歳以上の方の場合は経過観察とする方が一般的です。

特徴は、40代~50歳台に多くみられ、年齢とともに増加します。女性の発症が男性の2倍となっています。高血圧、喫煙、過度の飲酒は動脈瘤破裂の可能性を数倍高くするという報告もあります。家族発生も報告があり、遺伝する素因が一部であると言われています。先天的な原因より脳の血管の一部が毛細血管を欠き、血管の痙攣をおこす可能性も言われています。

ちなみに英語では、「subarachnoid hemorrhage」というのですが、我々の業界ではこれの頭文字をとって、「SAH(ザー)」なんて言ったりしています。

クモ膜下出血の発症率

およそ1万人当たり200から500人が、未破裂脳動脈瘤を持っています。そのうち年間にして1から2%が破裂すると考えられています。しかし正確な数値は分かっていません。つまり日本の人口が約1億2千万人だとして、そのうち240万人から600万人が未破裂脳動脈瘤を持つことになり、その中の2万人から10万人がくも膜下出血を起こすことになります。もしかしたら、知らないだけで未破裂の脳動脈瘤をもっているかもしれません。そしてそれが破裂するかもしれません。それくらい身近な病気なんですね。

クモ膜下出血の症状

・意識消失

・頭をバッドで殴られたような強い頭痛

・吐き気、嘔吐

・血圧上昇

発症前に何度も頭痛を経験される方もいます。これは、くも膜下出血の前兆であることも考えられます。しかし、風邪と勘違いされる方も多く、くも膜下出血のサインを見逃がしてしまう事も少なくありません。くも膜下出血は、死亡率が高い恐ろしい病気ですので些細なサインを見逃さない事が大切となります。いつもと何か違ったら病院への受診をオススメします。

クモ膜下出血になると痛いの?

くも膜下出血の発生様式として特徴的なのが、

・突然の激しい頭痛

・意識消失

・嘔吐

そしてくも膜という組織には、痛みを感じる受容器(センサーのようなもの)が豊富です。つまり、くも膜下出血を発症すると痛みを感じるのです。そしてもう一つの特徴が、「前触れがなく突然おこる」ということです。

クモ膜下出血の予後

くも膜下出血の予後は疫学的にみて非常に悪いとされています。1/3が死亡もしくは重症、1/3が治療を受けても予後不良、1/3が予後良好とされています。なぜこれだけ予後が悪いのでしょうか?その原因は破裂のものによる障害の他にあります。

くも膜下出血の予後を決定する3つの原因

1.再破裂

脳動脈破裂によるくも膜下出血の基本的な治療方法として、動脈瘤の頸部(根っこの部分)を閉塞し、再破裂を防止することにあります。再破裂は初回破裂よりも時間が短いほど可能性が高くなります。再破裂の予後は極めて高く、その場合64.4%が死亡しています。

2.脳血管の痙攣(けいれん)

脳血管の痙攣のことを脳血管攣縮(れんしゅく)といいます。脳血管攣縮は、くも膜下出血後4から15日をピークに発生しやすく、脳血管が狭く細くなり脳血流が減少し脳細胞が壊死していく状態です。このため脳虚血症状を起こす例を症候性脳血管攣縮といい、くも膜下出血の20から55%に認められます。

3.水頭症

くも膜下腔(くも膜の下の空間)と脳室にはおよそ150mlの髄液が存在しています。そして1日あたり約500mlの髄液の再生と吸収が繰り返されています。それがくも膜下出血によって髄液の吸収が阻害されてしまい、脳室内の髄液量が増大し脳室が拡大してしまいます。これを水頭症と言います。くも膜下出血の10から30%にみられ、発症後2週間経過ごろよりみられることが多いとされています。

くも膜下出血のリスク因子

・高血圧

高血圧は、くも膜下出血の原因になり得ます。高血圧の人はそうでない人と比較して、くも膜下出血後の死亡率が約3倍高いとも言われています。高血圧の原因の一つに塩分の過剰摂取があります。味が濃い食事が好きな方は、ダシを使った料理にするなどの工夫が必要になってきます。

・喫煙

喫煙に関してもくも膜下出血の原因となります。喫煙者は、非喫煙者で比較すると約2~3倍高くなるとも言われています。喫煙が習慣になっている人は禁煙から始めていく必要があります。

・家族の既往歴

家族に脳卒中の既往歴がある方もくも膜下出血の原因となります。家族に既往歴があると男女ともに約2倍高くなるとも言われています。家族にくも膜下出血の方が見える場合は、より食事や生活習慣に注意していく必要があります。

くも膜下出血の予防

私たちが日ごろから行える予防は、血圧を管理してコントロールすること、毎日の食事に気を付けること、禁煙を心掛けること、前兆を見逃さないことです。まずは、これら一つでもいいので日常の生活を変えていきましょう。毎日の生活が一番の予防となります。

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