脳卒中後の便秘はどうしたらいい?

私たちが食べた物の栄養分は、まず小腸が消化吸収し、その後の残りカスは大腸が便に作り替えて排出します。この一連の流れは腸管が収縮する蠕動運動によって行われ、スムーズに進むことで栄養たっぷりの血液が全身の細胞に届き、食べた物が活動エネルギーとして活かされます。リハビリや運動を行うためには、食事とエネルギーが大切になってきます。リハビリに必要な食事とエネルギーについて少しご紹介していきます。

カロリーとは?

カロリーという言葉を皆さんもよく聞くと思いますが、皆さんは説明できますか?カロリーは、エネルギーの単位の一つです。最近では、ダイエットまたは健康維持のためにカロリーを気にしている人も多いと思います。体重が増えてダイエット、健康維持など、カロリー表記を気にする人も多いのではないでしょうか。カロリーの定義として1calは、水1gを気圧のもとで1℃上昇させるのに必要な熱量と定義されています。私たちが毎日の生活を送るためにはエネルギーが必要です。

エネルギーとは?

エネルギーとは、人間が身体を動かすために必要な活動の源です。人間は、生命を維持し日常生活を送るために、体温保持のための熱エネルギーや筋肉運動のための機械エネルギー、神経伝達のための電気エネルギーなどを必要としており、これらのエネルギーを食品から摂取しています。食品のなかでエネルギーの元となるのは、三大栄養素と呼ばれるたんぱく質、脂質、炭水化物です。

三大栄養素の役割とそれぞれのエネルギーは?

・たんぱく質1g = 4kcal

たんぱく質は、筋肉をはじめとした身体の組織を作るのに使われます。

・炭水化物1g = 4kcal  

身体を動かすエネルギー源になります。

筋力トレーニングで力を出すのに重要です。

・脂肪1g = 9kcal

脂肪も身体のエネルギー源になります。

身体の機能を保つのに一定量は必要です。三大栄養素でもそれぞれの役割やエネルギーが違ってきます。これらを比較すると1g辺りで最もカロリーが高いのが脂肪です。よく、脂肪分を摂りすぎると太ると言われるのはこの為です。

エネルギーと代謝

私たちは何もしていない時にも常にエネルギーを消費します。寝ている間も心臓の拍動は動き続けています。生きていく上で最低限に必要なエネルギー量を基礎代謝量といいます。基礎代謝量は、性別・年齢によっても変わってきますが、一般的には男性の方が高いと言われています。

成人男性では1日に1400~1500kcal、

成人女性では、1日に1100kcalと言われています。

これらは、筋肉量を増やすことで1日のエネルギー量を増やすことにつながります。リハビリをしっかり行うためにエネルギーを摂取する必要があります。しかし、食べたものが上手く排泄できなくて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

脳卒中後の便秘

脳卒中を発症してから便秘に悩まされている方は、たくさんいます。なぜなら、蠕動運動を起こすのは脳からの指令と筋肉だからです。蠕動運動が停滞すると、栄養の消化吸収が落ちて血液の質が低下。便の排出が上手くいかないと、腸内の老廃物などを含んだドロドロ血液が全身を巡ってしまいます。こうした血液は細胞には入り込めません。代謝が落ち、血流も悪くなるので、冷えやむくみの原因にもなります。

脳卒中後の便秘に効く食事

腸の蠕動運動を活発にする食事のコツがあります。腸内には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が多数います。善玉菌が活性化すると日和見菌が加勢して腸内環境が良好になります。日頃の食事では善玉菌を増やすのに役立つ発酵食品と善玉菌のエサとなる食物繊維を多く含む野菜や果物、きのこ類、海藻類を積極的にいただきましょう。また、便が出にくい人は、オクラやもずく、なめこ、山芋などのヌメヌメ食材を多めに摂りましょう。水溶性食物繊維が多く含まれているため、便が柔らかくなります。

脳卒中後の便秘に排便力を高める

腸や肛門括約筋をひねったり、ストレッチをしたり、『の』の字にマッサージしたり、排便力を高めるには有効的です。トイレでのいきみすぎは体に負担がかかるのでNGです。もう一押しという時は、お腹をねじる「考えるポーズ」がオススメです。深呼吸をしながら、右肘を左膝の上に、左肘を右膝の上に交互に行い肘の位置を少しずつずらすと効果的です。また、ストレッチは無理せず、リラックスして行うのがコツ。副交感神経の働きが高まりスムーズな排便に繋がります。夜は副交感神経が高まって腸が最も活発になる時間帯です。翌朝のスムーズな排便につなげるためにも、夜はリラックスを心がけて、夕食は就寝3時間前までに済ませ、夜0時までに寝ることを習慣にしましょう。良い腸習慣を身に付けて脳卒中後の便秘解消に役立ててくださいね。

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