筋萎縮性側索硬化症とは?

おはようございます。今回のテーマは「筋萎縮性側索硬化症」についてです。皆さんこの病気の名前を聞いたことはありますか?一時期、ドラマでも話題になったことがあるので、ご存じの方も多いかもしれません。まだまだ、認知されていない病気ですので、どんな病気なのか?ご紹介していきます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足や呼吸に関する筋肉が進行的に萎縮してしまう病気です。特徴は、筋肉に障害が出るのではなく、運動を司る(運動ニューロン)が障害を受けます。脳からの指令が上手く伝わらなくなることで、力が入らなくなり、筋肉も萎縮してきます。進行すると呼吸筋麻痺など命にも関わります。ALSの特徴として、進行しても身体の感覚、視力・聴力、眼球運動、内臓機能は保たれています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)になりやすい人

ALSは希少疾病に属していて、1年間で新しくこの病気の人が見つかる割合は5万人に1~2人とされています。発症する年齢は、60歳前後が最も多く、青年期や80代以降では稀です。男女比は、1.5:1と男性の方が発症しています。遺伝する可能性は多くはありませんが、全体の5%は家族間での遺伝が確認されていて、家族性ALSと言われています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療

ALSの治療は大きく分けて2つあります。1つが薬物療法、もう1つが対処療法です。どちらも、症状の完治を目的としたものではなく、症状を遅らせたり、軽減することが目的となります。薬物療法では、ALS治療薬のリルゾールが有名です。リルゾールは、日本で唯一認可された治療薬で、症状を遅らせるといった科学的根拠があり治療法として確立しています。対処療法では、ALSの症状の進行に伴う筋力低下や関節の痛みなどを軽減することを目的にリハビリを行います。その他にもALSは進行する病気ですので、進行した時にコミュニケーションはどのような方法を選択するかなど、先を見据えて考えていかなければなりません。リハビリスタッフは、今できる機能だけに着目するのではなく、その方が本当にしたい活動や未来に目を向けていく必要があると思います。ALSは、筋肉に障害が出るのではなく、運動を司る(運動ニューロン)が障害を受けます。脳からの指令が上手く伝わらなくなることで、力が入らなくなります。

それとは別に「廃用症候群」という言葉がありますが、聞いたことありますか?よく入院すると筋力が落ちると言われていますが、筋力は使わないと落ちてしまい歩くこともままならなくなります。実際どの程度の期間で筋力が低下するのでしょうか?

廃用症候群について

「廃用症候群」とは、病気やケガなどで身体を動かせない状態が続き、過度の安静や日常生活の不活発に伴って生じる身体的・精神的諸症状の総称です。入院期間などでベッド上にいる時間が長くなることで生じる二次的障害と言えます。廃用症候群になると以下の症状がみられてきます。

・筋力低下

身体を動かす機会が少なくなると、筋肉量が減少するのは想像できると思います。特に歩くために必要な筋肉は低下しやすいと言われています。安静臥床の状態では、約1~3%/日、10~15%/週の割合で低下し、3~5週間で約50%ごと低下すると報告されています。低下するのは筋肉だけではなく、骨も萎縮してくるとされています。

・関節可動域制限

不動が続くと皮膚や軟部組織、筋肉などが短縮・癒着することで関節可動域が制限されます。期間が延びるほど関節が固まってしまう(拘縮)の状態になってしまいます。

・低栄養・体重減少

不動による食欲低下や栄養吸収率の低下することで、低栄養や体重減少が生じてきます。 

・見当識障害

不動の期間が続くと、意欲や集中力が低下してきます。見当識にも障害が出現するケースもあります。入院すると認知症が進むと言われているのはこの為ですね。症状がひどくなると睡眠障害や幻覚・妄想も出現してきます。その他にも、循環・呼吸器障害、尿路感染などのリスクも高まります。

廃用症候群の予防と治療

1日の安静によって生じた機能低下を回復させるためには数日から1週間かかり、1週間の安静により生じた機能低下を回復するには1ヶ月以上かかるといわれます。特に高齢者では廃用症候群を起こしやすく、また一旦起こしてしまうと若年層に比べて回復には時間がかかり、元の状態へ回復することはきわめて困難になります。そのため、リハビリではなるべく離床している時間を増やし、日常生活での活動時間を向上させることが大切です。また、介護者も患者さんが自分でできることは自分で行うようにしましょう。

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