健康ってどういうこと?
メディアや日常にあふれている「健康」という言葉。どこにいてもこの言葉を目や耳にすることが大変多いですよね。この言葉が定義づけ、概念として捉えられるようになったのは1948年世界保健機関より効力が発生しました。
「Health is a state of complete physical,mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 」
「健康とは、完全に身体、精神、社会的によい状態であることを意味し、単に病気や虚弱ではないということではない」 とされています。
この定義の下、人々の健全で安心な生活を確保するための取り組みがWHOにより行われています。しかし1998年にこの「健康」の定義が新しく提案されました。
「Health is a dynamic state of complete physical, mental,spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 」
「健康とは完全に身体・精神・霊的・社会的に良い動的状態であり、単に病気や虚弱ではないということではない」
しかしこの提案は定義を改訂したものではありません。WHOでは、定義を改訂する審議がされることなく見送られています。そのため定義ではなく、一つの解釈としての概念とされます。どう解釈し、捉えるのかは人それぞれです。健康でありたいと思うのが常ですからね。
高齢者における適正な体重とは?
健康を維持するには体重が1つの基準となります。身体の機能も年齢により変化してくるので、それに応じた適正な体重があります。では、高齢者の適正な体重は?一般的に適正と言われる体重とはBMI22とされています。
BMIとは
体重(kg)÷身長(m)2で算出されます。
BMI 肥満度
18.5未満 低体重
18.5以上25.0未満 普通体重
25.0以上30.0未満 肥満度1
30.0以上35.0未満 肥満度2
35.0以上40.0未満 肥満度3
40.0以上 肥満度4
(表:肥満度の判定基準(日本肥満学会)より引用)
標準BMI22では高血圧や糖尿病などの病気に最もかかりにくいとされています。しかし高齢者ではこんなデータもあります。BMIがやや高い(肥満に近い標準BMI値)方が死亡相対危険度が低く、BMIが低くなるほど相対危険度が高くなるとのこと。BMIとは体重と身長から算出される値ですので、概ねの概算しか出来ません。高齢者では体重が標準であっても筋肉量が減少している可能性があります。筋肉量が減少していると、虚弱(フレイル)やサルコペニアに至る危険性があり、健康寿命を低下させる可能性があります。そのため年齢に応じた目標BMIの範囲があり、以下のようになっています。
年齢 目標とするBMI
18~49 18.5~24.9
50~69 20.0~24.9
70歳以上 21.5~24.9
(表:年齢ごとの目標とするBMIの範囲(食事摂取基準2015)より引用)
そのため高齢者では体重やBMIだけにとらわれずに、筋肉の量で判断することがより健康的でいられる適正体重を把握できるのだと思います。筋肉量の測定は、現在様々な医療介護機関でも実施されております。興味のある方は一度測定してみてもよいのではないでしょうか。2010年にある研究チームがこんな研究データを発表しました。
“高齢者の22.8%に低栄養を認め、46.2%に低栄養のリスクあり”
約1/4の高齢者が低栄養状態にあり、約半数がそのリスクがあるとのこと。比較的大規模な研究データからの発表で、平均寿命の多い日本にとって、生活を脅かすようなデータです。
そもそも低栄養とはどのような状態を言うのでしょう
簡単に言うと、栄養摂取量が必要量よりも少ない状態のことを言います。ヒトは運動に伴いエネルギーを消費します。その運動の種類や時間によって消費されるエネルギーの量は異なり、歩くよりも走る方がよりエネルギーを要します。まあ、当たり前のことではありますが。さらに、ヒトは何もしていなくてもエネルギーを消費します。一日中寝ているだけでもエネルギーは消費されていくものです。これを基礎エネルギー消費量といいます。基礎エネルギー消費量はおおよその計算方法が存在し、
男性 66.47+13.75×体重(kg)+5.0×身長(cm)-6.76×年齢
女性 65.51+9.56×体重(kg)+1.85×身長(cm)-4.68×年齢
成人男性では1500kcal前後、女性では1100kcal前後となります。これだけのカロリーは何もしなくても消費されます。成人の場合、食事にて摂取したエネルギー量と、日常生活の中で消費されるエネルギー量がだいたい同じになります。仮に摂取量が多ければ体重が増加し、消費量が多ければ体重は減少していくこととなります。高齢者の場合では、基礎代謝が低下します。基礎代謝とは、先ほど説明した基礎エネルギー消費量です。さらに運動量(総エネルギー消費量)も減少します。これにより消費されるエネルギーの量は成人に比べて少なくなっています。
でもそれだと低栄養にならないのでは…?
消費エネルギーの量が減ると同じく、摂取エネルギーの量が低下します。食欲が低下したり、食べるものが偏ったりします。また摂取した食事がエネルギーに転換されづらくなることも大きな要因となります。
高齢者に必要な一日エネルギー必要量
男性 1850~2500kcal
女性 1500~2000kcal
※活動量によって幅があります。
みなさん、これだけのエネルギー量を摂取できていますか?栄養状態はその人の健康状態を表します。元気な体でいられるように、食事も心がけましょう。