脳卒中後の歩行における装具のメリットとデメリットを知ろう
脳卒中後の歩行障害はその人の生活を大きく一変させるものになります。
「歩ければ何でもいい」
なんていう方は本当に稀で、実際には
「今までのように歩きたい」
こう思っている方が大半です。
杖や装具などは、本当は使いたくないと思っているのです。
しかし現実はそんな簡単なものではありません。
麻痺した足に力が入らず膝折れしてしまったり、支えられず倒れそうになってしまったり。
そのため杖や装具を使わざるを得ないことがあるのです。
こんな風に書くと装具や杖が悪のように聞こえてしまうかもしれません。
しかし全く持ってそんなことはないはず。
装具や杖は安全性を高めるために必要なものです。
それがあることで生活が確立している方も大勢います。
理学療法士は装具の作成や採型の場面にも携わります。
作成後の調整や状況に応じて変更も助言提案もします。
装具があることがその人にとって有用であると思える場面は嫌というほどあります。
やっぱ装具は大丈夫です。
装具を外して歩けるようになりたい方、もっと軽い装具に変えて歩けるようになりたい方。
目標を持ってリハビリに取り組む気持ちや姿勢はとても尊敬し、力になりたいと思います。
しかしむやみに装具を外したら良いかというとそうではありません。
装具があるから出来ることも生活の中にはいっぱいあるでしょう。
装具の脱着には、「生活」と「回復への思い」が天秤にかけられます。
この天秤の重さは「身体機能」によって揺れ動きます。
身体機能が回復を辿っていけるのであればこの天秤は回復への思いへ傾きます。
しかし生活を蔑ろにするわけではありません。
生活の質や水準を保ちつつ、回復へ辿っていくものでなければいけません。
いきなり装具を外してしまうのは非常にリスクがあるということです。
足の裏から入る感覚刺激は重要ですが、天秤は少しずつ傾けていきましょう。
そしてその積み重ねは、必ず装具を外しても歩けるように、あるいは今よりも軽い装具で歩けるようになるのです。
まずは少しずつ装具を外している時間をつくりましょう。
歩かなくても結構です。
少しずつ装具を外している時間が、装具がない状態の身体の感覚へとつながっていきます。
5分ずつでもいいと思います。食事中だけでもいいと思います。
そしてその次は、装具をつけていない状態で足を動かしたり、体重を乗せていく感覚を養っていきましょう。
足の裏に床やタオルなど様々な刺激が入ることが重要です。
触ったり、ストレッチすることも非常に効果を高めていきますからオススメです。
歩くのは少し自信がついて、かつ短い距離から始めましょう。
トイレなどは焦ってしまいますので、出来れば歩くことを目的として実践してみて下さい。
一歩ずつ、安全に、体重が乗る感覚が足に伝わるように意識もします。
始めは目でみて確認しながら行います。
れくらい足があがっているか、どこに足をついたら良いかなど。
目標に対して、とても小さなところからの発進かもしれません。
しかしそれがいつか大きな目標を達成するための第一歩になるのです。
少し根気がいるかもしれません。
ですが諦めない気持ちと、回復への思いは必ず目標へと前進するでしょう。