脳卒中のことを一から知ろう〜脳梗塞と脳出血、治療、リハビリについて〜
おはようございます。カラダの先生の森です^ ^
このブログでは、脳卒中のことやリハビリのことなどを中心に書いています。
毎回様々なテーマでこのブログをあげているのですが、一度原点に振り返り、改めて脳卒中とはといったところを書いてみようかと思います。
よければこのままご一読いただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします!!
Contents
脳卒中とは
脳出血と脳梗塞
脳卒中とは脳の血管(動脈)障害や出血により、運動や言語など様々な障害が現れる疾患の総称をいいます。
さらにその脳卒中にはいくつか種類があります。
脳の血管がつまり、それより先の血行が阻害されることで脳が障害されてしまう「脳梗塞」
脳の血管が破れてしまう「脳出血」
大きくその二つに分けられます。
どのくらいの人が脳卒中を発症するのか
脳卒中の総患者数は平成26年時点の発表では、約120万人といわれ、毎年約30万人に近い人数が脳卒中を発症していると推測されています。
日本人口が約1億2500万人ですから、平均すると日本人の約100人に1人が発症する病気です。
100人に1人と聞くと、結構多い気がしますよね。
100人に1人ということは、家族、友人、知人、職場の仲間など、自分の身の回りの人が発症しても何らおかしくない数ということが分かります。
しかし、脳卒中と一言で言ってもその症状は様々。
小さな血管の出血や梗塞であったり、早期に治療が開始されることで、殆ど身体に影響の出ない人もいます。
つまり全くといっていいほど、後遺症が残らないという人も当然いるわけです。
それに反して、脳卒中は悪性新生物、心疾患と合わせて、三大死因といわれるくらい死亡率が高い病気です。
現在は医療技術が進歩し、脳卒中での死亡率は徐々に低下傾向となっていますが、昭和30年頃から昭和56年まで脳卒中の死亡率は第一位であり、今もなお、悪性新生物、心疾患、肺炎に続いて、第4位の死亡率となっています。
介護が必要になる可能性も
また、介護が必要になるケースが多いのがこの脳卒中の特徴で、発症後約45%が介護が必要になります。
45%って、はっきりいってめちゃくちゃ高い数値です。
介護が必要になるケースは認知症や加齢による虚弱、骨折など様々ですが、最も多いのが脳卒中となっています。
発症数は徐々に増加しており、死亡率が減少する中、その分介護を要すことになる方がたくさんいるのが、現在の日本の現状ということが分かります。
脳卒中の後遺症
脳梗塞を発症すると、後遺症が残るケースがあります。
これは脳の血管が出血やつまってしまうことにより、脳自体の機能が損傷してしまうことで起きてしまいます。
そのため、後遺症が残るケースは少なくありません。
また、脳が損傷される場所や血管によって様々な障害が起こります。
運動麻痺(手足の麻痺)
損傷した脳の反対側の手足が動かない、上手に動かしにくいといった症状が出現します。
手足の運動を司る神経は、反対側に交差しているためとなります。
損傷を受けた脳の場所や損傷の大きさによって麻痺の程度も異なります。
手は動くけど足が動かせない、といったこともあります。
感覚障害
痛みに鈍感になる、触られても気づかない、熱い冷たいが分からないなどがあります。
また、しびれがあることで感覚が鈍くなってしまうこともあります。
高次脳機能障害
二つのことが同時にできない、集中できないといった注意障害、左右どちらかが認識できなくなる半側空間無視、ろれつが回らず上手くしゃべれない、言葉がでてこないなどの言語障害、記憶障害など数多くの種類が存在します。
その程度によっても日常生活に大きく影響を及ぼします。
嚥下障害(飲み込みの障害)
飲み込むときに使う筋肉の麻痺や、飲み込んだ時に食道ではなく気管に入ってしまうなど。
命に係わるため食べ物や飲み物を刻んだり、トロミをつけるなどの工夫が必要になることがあります。
これらが脳卒中の後遺症で多い症状となります。
しかしその症状も人それぞれです。
同じ人はいません。
改善していく過程も回復するスピードも人それぞれといえます。
また、発症後のリハビリによっても
後遺症の程度や日常生活も変わるといえるでしょう。
では実際に脳梗塞を発症したらどんな治療があるのか?
脳卒中では病気の種類や脳のどこが障害されたかによっても治療が異なります。
脳梗塞の治療
まず、脳梗塞は発症後早期の治療が大切です。
現在、脳梗塞は発症してすぐであれば血栓融解剤が使えます。
血栓融解剤とは、つまってしまった血管の血栓を溶かす薬のことで、発症4.5時間以内であれば使用できるのです。
この薬を使い血栓が溶けてしまえば再び血流が流れ出すため、症状が重くならずに済むことがあるのです。
4.5時間はとても短い時間です。
脳梗塞を疑ったら可能な限りすぐに専門の病院を受診するのが良いということですね。
そこから血液がサラサラになる薬を飲んで再び血栓が出来にくいようにし、状態が落ち着けばリハビリを開始することになります。
リハビリもできるだけ早期から開始できることで寝たきりや筋力の低下などの廃用症候群の予防にもつながります。
脳卒中に対するリハビリ
では脳卒中片麻痺に対するリハビリでどんなことをしたらいいのでしょうか?
まず前提として、脳卒中後の運動は非常に大切となります。
リハビリの中でも、力が落ちてしまった筋肉を鍛えたり、麻痺があって力が入らない筋肉に力が入るように訓練したりしますよね。
その時に気をつけなければいけないことはなんでしょう?
陽性症状と陰性症状
脳卒中後の片麻痺で考えるべき2つのことがあり、1つは脳の神経細胞が損傷してしまったことにより、本来出ないはずの症状が現れてしまっているということ。
これを陽性症状といいます。
2つめは本来出ていなければいけない症状が現れなくなってしまっているということ。
これを陰性症状といいます。
前者の例としては、
・高い筋緊張による痙縮や固縮
・動かそうとしている筋肉以外が勝手に動いてしまう症状
共同運動、連合反応といいます。
例えば、手を前に伸ばすときに、肩が挙がってきたり、開いてきたりしてしまうことです。
他にも、あくびやくしゃみをしたときに麻痺側が勝手に曲がってしまうのもあります。
後者の例としては、
・筋緊張が低下し、麻痺した手足が動かしたくても動かない
・触られたり、熱い冷たいなどの感覚が鈍くなる
したがって、脳卒中後のリハビリでは、これらの症状がどのように出現しており、どのような身体の状況なのか的確に評価しなければいけません。
的確な評価の下、リハビリを実施することで回復できるのです。