脳梗塞の主な症状〜出現する症状と出現しなくなる症状〜

こんにちは。カラダの先生の森です。

本日のテーマは脳卒中、脳梗塞の症状について。

脳卒中の症状と聞くと、皆さんはどんなものを思い浮かべますか?

一般的に思い浮かぶものとしては、片麻痺(半身麻痺)、痙縮などがあるのではないでしょうか。

しかし脳卒中の症状には様々な種類があり、また、症状が出るだけではなく、本来出ていないといけないものが出なくなるといったこともあるのです。

脳梗塞の症状〜陽性症状と陰性症状〜

脳梗塞になることで現れる症状のことを陽性症状といい、逆に正常に存在していたものが出なくなるあるいは出にくくなることを陰性症状といいます。

陽性症状には、

・筋緊張の異常(亢進)
・運動パターンの異常
・姿勢反射の異常
・病的反射の異常

などがあります。

陰性症状には、

・随意運動の低下(消失)
・正常な姿勢反射の低下(消失)
・感覚の低下(消失)
・非麻痺側と体幹の運動機能低下

などがあります。

もう少しその内容を詳しく見てみましょう。

脳梗塞の陽性症状

・筋緊張の異常(亢進)
・運動パターンの異常
・姿勢反射の異常
・病的反射の異常

1.筋緊張の異常(亢進)

筋緊張とは、筋肉の緊張状態を脳からの指令により適切な張力に保ち、必要に応じてその筋肉に力が入るようになっています。
筋緊張が高い(亢進)というのは、自分の意識とは無関係に筋肉に緊張が入ってしまっている状態で、いわゆる痙縮や固縮と言われるものになります。

皆さんの思う脳梗塞のイメージはこの筋緊張の異常を思い浮かべていることでしょう。

痙縮の定義

A motor disorder characterized by a velocity – dependent increase in tonic stretch reflexes (muscle tone) with exaggerated tendon jerks, resulting from hyperexcitability of the stretch reflex, as one component of the upper motor neuron syndrome.(Lance,1980)

腱反射亢進に伴った緊張性伸張反射の速度依存性増加を特徴とする運動障害で、伸張反射の亢進の結果生じる上位運動ニューロン症候群の一徴候である。

難しい表現ですが、こんな風に定義づけられています。

速度依存性というのは、筋肉を伸ばしたり縮めたりする動きの速さに応じて筋緊張が変化するということです。

上位運動ニューロン障害というのは、脳から脊髄までの神経を指します。
脳梗塞などの脳の病気による病態になります。

2.運動パターンの異常

運動パターンの異常とは、共同運動や連合反応のことになります。

共同運動とは、ある運動を行う際のその運動に必要な筋肉だけが働くことができず、その動かしたい筋肉の共同筋も同時に働いてしまう現象です。

連合反応とは、身体の一部にある運動をさせたときに、それとほぼ対象的な部位に筋肉の収縮が起こることを指します。
例えば麻痺していない側の手や足に力を入れたときに、麻痺している手足に勝手に力が入り、手や肘が曲がったり、足が突っ張ったりしてしますような現象です。
脳卒中で片麻痺のある方は一度はご経験があるかと思います。
自らの意思とは関係なく筋肉が収縮し、手足が動いてしまうのが特徴ですね。

一般に連合反応は回復の初期の段階に著名であり、回復中期を過ぎると次第に減弱します。
しかし、かなり後まで完全に消失することはないとされています。

3.姿勢反射の異常

脳梗塞などの中枢神経障害では病的な姿勢反射の出現が見られます。
主に対称性緊張性頸反射や非対称性緊張性頸反射と呼ばれるものがあります。

対称性緊張性頸反射(symmetric tonic neck reflex=STNR)とは、首の前屈によって両側の腕が曲がり、両側の足は伸びるような動きが反射的に起こるものです。
その逆に、首の後屈によって両側の腕は伸び、両側の足は曲がるような動きが反射的に起こるものもあります。

つまり首の前後の動きによって手足に伸びるあるいは曲がる力が反射的に入ってしまうというものです。

非対称性緊張性頸反射(asymmetric tonic neck reflex=ATNR)とは、首の捻転により生じるもので、顔を向けた側の手足が伸び、反対側の手足が曲がるような動きが反射的に起こるものです。

写真のように、顔の向きによって手足の動きが反射的に入ってしまうものになります。

病的反射の異常

病的反射とは、本来であれば出ない反射が、上位運動ニューロンの障害により出現してしまうものの一つです。
本来反射とは、乳幼児では見られ、発達とともにその反射が統合され消失していくものです。
それが上位運動ニューロンの障害によって統合していたものが再び出現するため、脳梗塞などの病気で見られることが多いです。
有名なものでは、バビンスキー反射などがあります。

脳梗塞の陰性症状

・随意運動の低下(消失)
・正常な姿勢反射の低下(消失)
・感覚の低下(消失)
・非麻痺側と体幹の運動機能低下

1.随意運動の低下

脳梗塞の後遺症による麻痺とは、必ずしも筋緊張が高くなるとは限りません。
その逆に筋緊張が低くなり、手足が弛緩してしまうこともあります。

随意運動とは自らの意思で意図的に体を動かすことです。
この随意運動を司る神経を錐体路といいます。
脳梗塞によってこの錐体路を障害されることが多く、それにより麻痺が生じます。

純粋に錐体路のみを障害された場合は弛緩性の麻痺が生じますが、それ以外の部位を障害されると逆に筋緊張が高くなり、痙縮などになります。

2.正常な姿勢反射の低下(消失)

先ほど脳梗塞になることで出現する姿勢反射(ATNRなど)を説明しましたが、それとは反対に正常には出現している反射が出現しなくなる場合もあります。

それらは一般的にバランスを保つために働く反射や反応であり、立ち直り反応、傾斜反応、ステップ反応などがあります。

これらが正常に反応することでヒトはバランスを保つこと、バランスが崩れた時に転ばないように反応することができます。

脳梗塞などでこれらの反応ができなくなると、バランスを崩したときにそのまま転倒してしまう危険性が非常に高くなります。

3.感覚の低下

感覚障害と聞くと、「触られた感覚が分からない」などのいわゆる触覚をイメージする方が多いかもしれませんが、感覚とはそれだけでなく様々な種類があります。

大別すると感覚には、体性感覚、内臓感覚、特殊感覚があり、脳梗塞などの中枢神経疾患で障害されやすいのが体性感覚になります。

この体性感覚にもさらに種類があり、大きく表在感覚、深部感覚、複合感覚と呼ばれるものに大別されます。

表在感覚(主に皮膚や粘膜など表面の知覚)

・触覚
触れられた感覚

・痛覚
痛みの感覚

・温度覚
熱い冷たいなどの温度の感覚

深部感覚(骨膜、筋肉、関節などの知覚)

・位置覚
手足など体の部位の位置がどこにあるか、どんな角度の位置にあるか

・運動覚
手足など体がどの方向に動いたのか

・振動覚

複合感覚

・二点識別覚
・立体覚

このように感覚にも様々な種類があり、どの感覚が低下あるいは消失しているのか、どの感覚が残存しているのか、手はどうなのか、足はどうなのか、精査していく必要があります。

4.非麻痺側と体幹の運動機能低下

一般に脳梗塞などでは障害された脳とは反対側の手足に麻痺などの症状が出現します。
これは脳から脊髄へつながる神経が途中で交叉しているためです。
しかし全ての神経が交叉しているわけではありません。
中にはあるいは部分的に交叉せずそのまま同側につながる神経路もあります。
つまり、脳梗塞の症状は必ずしも障害された脳とは反対側に出現するわけではなく、部分的に同側に出現することもあります。

また体幹に至っては、体幹を支配する神経は両側支配であるため、左右どちらの脳梗塞だとしても、体幹には何かしらの影響がでる可能性が高いです。

さらに、脳梗塞を発症すると麻痺側の運動が困難になるだけではなく、生活動作自体だ困難になり、麻痺側非麻痺側ともに筋力低下などが起きやすいです。
そういった状態が続くことで、廃用症候群などにつながるリスクもあります。

まとめ

・脳梗塞によって出現する陽性症状と、本来であれば出現していたものが出なくなる陰性症状がある

・様々な症状があるため、どんな症状が出ているかあるいは出ないのか見極める必要がある

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