パーキンソン病ってどんな病気?症状や治療法について
パーキンソン病ってどんな病気なの?
パーキンソン病は中脳のドーパミン細胞の欠落により、体が動きにくくなっていく病気です。
現時点では根治療法がなく難病に指定されています。
難病の中では患者数が多く、日本に約16万人(65歳以上100人に1人)いると言われています。
パーキンソン病の種類
●孤発性パーキンソン病
最も多いタイプはこの孤発性パーキンソン病。
●若年性パーキンソン病
40歳以下で発症するタイプで患者全体の10%程度と言われています。
10代で発症するケースもあります。
●家族性パーキンソン病
全体の5-10%と言われています。
遺伝性というのが考えられています。
パーキンソン病の原因
異常タンパク質のαシヌクレインが凝集していくことが原因と考えられています。
そして溜まっていく部位によってパーキンソン病かレビー小体型認知症に分かれます。
パーキンソン病の方は、αシヌクレインが中脳黒質から溜まっていき、大脳皮質にも溜まっていくと認知症状も出現するのではないかと言われています。
レビー小体型認知症の方が、パーキンソン病のような症状が出る方がみえますが、αシヌクレインが大脳皮質から溜まっていき、中脳黒質に降りていくとパーキンソン病様の症状が出ると言われています。
ドパミンというのはいろいろなところに作用しています。
3つの経路があり、
・中脳皮質系ドパミン経路(認知機能)
・中脳辺縁系ドパミン経路(感情・情緒)
・黒質線条体ドパミン経路(動きの調整)
このようにドパミンは様々なところに作用しているので、多種多様な症状が出てきます。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状は、身体の動きに関する運動症状と身体の動き以外の非運動症状に分けられます。
運動症状
振戦、動作緩慢、筋強剛、姿勢の不安定性など
その他に表情が乏しくなる、しゃべりにくさ(構音障害)、飲み込みにくさ(嚥下障害)、よだれが出やすい(流涎)、歩行時の腕振りの低下、歩行時の足の引きずり、加速歩行、椅子から立ち上がりにくい、寝返りがしにくい、字が小さくなる(小字症)、料理・食事・入浴などの動作に時間がかかる、手や足の指の変形、姿勢異常(側彎症、前屈み姿勢)などがあります。
非運動症状
自律神経障害(起立性低血圧、頻尿、便秘、汗が多いなど)、
感覚に関する症状(臭いや味が分かりにくい、肩や背中の痛み、しびれや痛みなど)、
睡眠の問題(睡眠行動異常、睡眠時に大声で叫ぶ、悪夢・鮮明な夢を見る、日中の眠気、不眠など)、不安症、抑うつ、関心の低下、喜びの喪失、疲れやすくなる、思考が緩慢になる、言葉が出にくくなる、認知機能障害、体重減少などがあります。
運動症状はパーキンソン病の症状の『氷山の一角』と言われています。
表に見える運動症状はパーキンソン病の症状の氷山の一角部分で、水面下には非運動症状がたくさん隠れていることが多い、と言われています。
また、非運動症状は運動症状が表面化する20年前から症状が出てくることもあるそうです。
パーキンソン病と診断されるきっかけは、「手足の震え」や「足取りがおかしい」といった運動症状が出たことで病院を訪れて診断されることが多いようです。
そのため、発病時に振り返ってみると「便秘や嗅覚鈍麻、日中に眠くなったり夜間眠れなくなったり、といった非運動症状が以前からあった」ということがしばしばあります。
そのため、医療保険や介護保険制度でリハビリが始まるのは、ある程度症状が出てから(中等度)の方が多いのです。
パーキンソン病の治療方法
薬物療法
パーキンソン病では主にドパミンという脳内の神経伝達物質が不足してしまうことで症状が現れます。
この不足してしまったドパミンを正常な状態へと近づけていくためには以下のことが大切です。
●ドパミンを補充する
●ドパミンが分解されにくくする
●ドパミンと同じ働きをもつ物質を取り入れる
など、さまざまなアプローチ方法があり、症状を改善させるパーキンソン病治療薬が数多く登場しています。
外科治療(手術)
●深部脳刺激術(DBS)
脳に電極を埋め込んで、電気刺激することにより、パーキンソン病でバランスの崩れた神経回路のバランスを取り戻し、症状を改善します。
●経腸療法(デュオドーパ)
経口剤での治療が困難になったパーキンソン病患者さんのために、カセットに入ったL-ドパ製剤を専用のポンプとチューブを用いて、薬の吸収部位である小腸に直接送り続ける治療法です。
運動療法
●筋力増強運動
筋力を鍛えることによって、歩行速度・移動能力の改善などに効果がみられることもあります。
●全身運動
有酸素運動を中心とした全身運動を行うことで、歩幅や歩行速度、運動開始時間の改善などに効果があるとされています。
●全身ストレッチ
パーキンソン病の方は、身体を大きく素早く動かしたり身体を捻って柔軟に動くこと(例えば、寝返りや歩行時の方向転換など)が苦手となります。身体が一つの塊のように動かれる方も多いので、大きく動かすための体幹の回旋ストレッチを行います。
まとめ
パーキンソン病の症状は、表に現れた運動症状のみではなく、裏に隠れた非運動症状や合併症を考えてリハビリを計画していくことが重要です。
次回はパーキンソン病の運動療法について詳しくお伝えする予定です。