脊髄小脳変性症ってどんな病気?

皆さん、こんにちは。カラダの先生の西田です。

体を動かす筋肉や骨は正常にも関わらず、筋肉などに「動け」と指令を送る脳神経に障害が起きることで、徐々に自分の意思で体を動かせなくなる「運動失調」と呼ばれる状態を引き起こす病気の一つ、「脊髄小脳変性症」をご存じでしょうか。

今回は、脊髄小脳変性症についてお伝えしたいと思います。

「運動失調」を引き起こす原因として、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等があげられますが、脊髄小脳変性症はこれらの原因で運動失調となった場合以外の病気の「総称」です。

そのため、一言で「脊髄小脳変性症」といっても、「マシャド・ジョセフ病」や「多系統筋萎縮症」など様々な種類があり、種類に応じて出現する症状や病気の進行度、予後なども大きく変わってきます。

国による難病指定も受けており、40歳以上65歳未満でも介護保険を使うことができる介護保険においての「特定疾病」の1つにも指定されています。

脊髄小脳変性症の症状とは

脊髄小脳変性症の中で、まず分類されるのが「遺伝によるものかどうか」というものです。

遺伝によって発症する脊髄小脳変性症を「遺伝性脊髄小脳変性症」、そうでないものを「孤発性脊髄小脳変性症」といいます。

脊髄小脳変性症の症状は、遺伝性か孤発性かなど、分類によって様々となりますが、ほぼすべての脊髄小脳変性症に出る症状は「小脳失調」と呼ばれるものです。

「小脳」とは、「前頭葉」「側頭葉」などと並ぶ脳の一部であり、側頭葉の下、脳幹の横に位置しています。

小脳は役割に応じて大まかに分けて「大脳小脳」「脊髄小脳」「前庭小脳」の三つに分けられます。

「大脳小脳」は四肢の運動の調節や言語を、「脊髄小脳」は体幹の運動の調節を、「前庭小脳」では平衡感覚や眼球運動の調節を行います。

これらが障害を受けることで次のような症状が出現します。

●体幹失調・酩酊様歩行

体の中心である体幹のバランスがとりにくくなるため、歩くときに両足を開き、体幹を揺らしながら不安定に歩きます。

酔ったようにみえるため、「酩酊様歩行」とも呼ばれます。

●小脳性構音障害

発声に必要な筋肉を動かしにくくなるため、酔っぱらったような、とぎれとぎれで不明瞭な会話となります。

また、ゆっくりとした話し方になったり、突然大きな声になる爆発性言語がみられることもあります。

●協調運動障害

一つの動作を行うための動作を協調して行うことができなくなるため、バッグを取ろうとしてもとれない、キーボードやピアノなど指の細かい動作ができなくなる、などの症状が出現します。

●小脳性震戦

手や足などが目標に近づけようとすると不規則に震えてしまう症状で、目標に近づくほどふるえが大きくなります。

●注視方向性眼振

視線をある方向に固定した時、目の位置を固定できずに左右に震えてしまいます。

脊髄小脳変性症の治療とは

脊髄小脳変性症について研究がすすめられていますが、いまだ有効とされる根治的治療方法は確立されていません。

しかし、まったく治療法がないというわけではなく、それぞれの症状や進行具合に合わせた「対症療法」と呼ばれる治療法が行われています。

●薬物療法

脊髄小脳変性症そのものに効く薬はまだありませんが、脊髄小脳失調症によって起こる症状に対して、症状を落ち着かせたり、緩和する薬を使うことは可能です。

また、パーキンソニズムが出現した場合、抗パーキンソン病薬を使うことで、初期の段階では一定の効果があるといわれています。

排尿障害や起立性低血圧などの自律神経障害や、小脳失調によるめまいや吐き気といった症状に対しても、それぞれ個々の症状に有効な薬を飲むことで、一時的ではありますが症状を押さえることができます。

●リハビリテーション

リハビリテーションでの目的は、運動機能の「回復」ではなく、現在残っている運動機能の「維持」と「残存機能の活用」です。

小脳が障害されることで起こるバランス感覚の欠如や歩行時のふらつきなど、患者さん一人ひとりの小脳失調の症状に沿ったリハビリを行うことで、その効果は終了後もしばらくは持続するといわれています。

特に症状が「小脳失調」のみの場合、集中的なリハビリを行うことは症状の進行を妨げる一定の効果があるという報告もあります。

症状が進行した場合にも、残っている運動機能を活用し、維持するためにリハビリテーションは有効なた
め、脊髄小脳変性症の方に対して、リハビリテーションは積極的に行われています。


脊髄小脳変性症は一部の病気を除き、緩徐に進行していきますが、積極的なリハビリによって小脳失調による運動障害の改善および現状維持も見込むことができるため、リハビリテーションは脊髄小脳変性症のケアにおいて非常に重要となります。

カラダの先生では、脊髄小脳変性症の方に対するリハビリを行っております。

お気軽にお問い合わせください。

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