片麻痺で外を歩くときの注意点と杖の適性
おはようございます。
今日のテーマは「屋外歩行」と「杖」です。
片麻痺の方の場合、自宅の中と外では、装具や杖を分けているかたもいるでしょう。
自宅の中は装具なしで歩いているという方もいると思います。
外では杖を使っているという方もいるでしょう。
麻痺がある方は特に、外で歩くときには安全面に考慮した歩行形式をとっているのではないでしょうか?
確かに外には危険な場所や気を付けなければならないポイントがいくつもあります。
病気になる前には、気にもしなかったでしょう。
「麻痺があることで初めて」気になるところが見えてきます。
では、どんなところが危険な場所と感じるでしょうか?
アスファルトの危険性?【片麻痺におけるバランス】
アスファルトにも危険がある?きれいに舗装されているじゃないの?
いえいえ、そんなことは全くありません。
アスファルトといっても、場所によってさまざま。
僅かな溝、目には見えない傾斜、そもそも舗装されておらず凸凹。
一見きれいに見えても、歩いてみるとその微妙な感覚に違いがあります。
一度気にして歩いてみると分かるかもしれません。
本当にごくわずかでも、平坦ではない感覚。
片麻痺があると、こういった微妙な感覚が歩きづらさになるのです。
人は目には見えない微妙な床や地面の感覚を足の裏から感じ取り、足首を柔軟に変化させ、あたかも平坦なところを歩いているかのごとくバランスを修正することができるのです。
しかし脳卒中を発症すると、麻痺が残ったり、足の裏や足首の柔軟性が低下してしまいます。
そのため、無意識にバランスを修正することが難しくなるのです。
坂道は登りと下りどちらが大変か?【重心位置で変わる】
みなさんは坂道を歩くとき、登りと下りではどちらが大変か分かりますか?
この答えは、体の重心をどこに置いているかで決まります。
斜面を歩くとき、人はその斜面に応じて重心を偏移させます。
上り坂のときは重心を前に。
下り坂のときは重心を後ろに。
それによって平衡を保つことが可能になります。
そしてその重心を偏移させるときに最も必要な関節が足首になります。
足首を斜面の角度に合わせることで、体をまっすぐに保つことができます。
つまり、足首が硬い人や弱い人ではそれが不可能になってしまい、足首以外でバランスを保たなければならないです。
代表的には股関節や体幹、あるいは膝を曲げてなどで補う場合もあります。
脳卒中後の片麻痺は、足首の柔軟性を損ね、あるいは尖足を呈してしまうなどの症状がみられます。
そうなると、足首の角度を斜面に合わせることが難しくなり、坂道でのバランスをとりづらくなってしまうのです。
舗装されていない不整地を歩く
脳卒中の方でもそうでない方でも、砂利道などの不整地を歩くことは大変です。
当然転倒のリスクがあります。
それだけでなく、不整地を歩くときはその足場を常に意識した中で歩くことを余儀なくされます。
歩くことを意識する事はとても大変な労力がいります。
人は通常、歩くことを意識しません。
しかし、足場の悪い場所や、不整地では、転倒してはいけないと、常に意識しなければいけなくなってしまいます。
ただ歩くだけの労力に加えて、意識し続けることに労力が割かれ、とても疲れやすくなります。
足腰が弱くなったり、病気や怪我によって歩きづらさがあったりすると、移動の補助具としてまずは杖を使う方が多いかと思います。
介護用品店だけでなく、ホームセンターやはたまた百円均一にも売っているほど比較的安価にどこでも買えるほど皆さんの生活に根付いていますね。
最近ではデザインも豊富ですし、持ち運びやすいように折りたためるものもあります。
そんな杖ですが、手軽に手に入るあまり高さがあっていないような方もちらほら。
使えれば何でもいいという方もいるかとは思いますが、キチンと自分に合ったものを使う方が断然良いです。
自分に合っていない杖を使うと、不自然に力を入れすぎてしまい、手首を痛めることや肩こりの原因になることもあります。
あるいはバランスが悪く、高さが低いと重心を下げ過ぎてしまい、高さが高いと後ろ体重になってしまいます。
これでは自然に前に進んでいく動きを阻害してしまい、歩きにくくなってしまいます。
脳梗塞の方の場合は、杖を持つ手に力が入りすぎてしまうと、麻痺している手にも力が入ってしまい、痙性を助長してしまう、足を前に振り出しにくいといったことにもつながってしまいます。
杖の正しい高さとは
身長÷2+2-3cmとされています。
身長が170cmの場合、170÷2+2-3で87-88cmが妥当な高さとなります。
身長が150cmの場合、150÷2+2-3で77-78cmが妥当な高さとなります。
もっと簡単に知る方法はないの?
わざわざ計算しなくてもおおむねで杖の適切な杖の高さを測る方法があります。
床から大腿骨の大転子という骨の突起までが概ね適切な杖の高さになるのです。
大転子は股関節の外側で横に出っ張っている骨になります。
これなら簡単にどこでも自分に合った杖の高さを測ることができますので是非知っておいてください。
杖には高さ調節がついているものとそうでないものがあります。
高さ調節機能があるものならすぐに実践してみて下さい。
あなたの使っている杖は、本当に自分に合っていますか?