脳卒中後に筋肉が萎縮しないためにはどうしたら良い?
おはようございます。カラダの先生ブログです。
本日のテーマは「筋萎縮」です。
皆さんは、筋萎縮って聞いたことありますか?
読んで字のごとく、「筋肉が萎縮する」ことを指します。
いわゆる「筋肉が衰える」であったり、「筋肉がやせ細った」ような状態のことですね。
しかしこの筋萎縮も、様々な種類があるんです。
「脳梗塞を発症し、筋肉が衰えたから筋肉を鍛えたい」とお考えになる方も多いかと思います。
しかし筋力トレーニングを行えば良いかというとそうではありません。
自分がどのようにして筋肉が萎縮したのか、その経緯や特徴を加味した上で筋力トレーニングを行われなければいけません。
まずは自分の筋萎縮がどんな種類のものなのかを知り、そこからどのようにして筋肉を鍛えていくのか結びつけていきましょう。
コンテンツ
筋萎縮とは
筋萎縮とは筋肉が量的に減少した状態を表します。
一般的には筋肉が萎縮しているため、筋力低下が認められます。
さらにその筋萎縮には種類があります。
筋萎縮の種類
- 廃用性
- 神経原性(運動ニューロンに起因する障害)
- 筋原性(筋自体に起因する障害)
- 加齢
- その他
言葉が少し難しいかもしれませんね。
分かりやすく順番に整理していきましょう。
廃用性筋萎縮とは
まずそもそも廃用という言葉に聞き馴染みがないかと思います。
「廃用」とは、ある機能を使用しなくなることで意味を成さなくなり使用するのに困難な状態に陥った状態です。
日常的にはあまり使うことのない言葉だと思います。
廃用症候群などの言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
「廃用症候群」とは、安静にしている状態が長期間に渡って続くことにより心身の機能低下を起こした状態です。
つまり廃用性筋萎縮とは、寝たきりや安静状態が長く続いたことから起こる筋肉の萎縮のことになります。
こんな面白いデータも
人は宇宙空間での動きや寝たきりのように重力を受けず、荷重負荷のない状態に置かれていると、筋肉の中でもより身体を支える土台になる筋肉が萎縮しやすいというデータがあります。
むしろこれは、より積極的に体が自分の置かれている環境に適応するための反応ともいえます。
つまり廃用性筋萎縮というのは、筋肉を使っていない、あるいは寝たきりや安静状態などで筋肉を使えない状態により、その使わない状態により適応しようという人間の適応反応だということです。
安静期間にどのくらい廃用性筋萎縮は進行してしまうのか?
これは安静期間の長さにより変わってきます。
1週間の安静で、筋力はおよそ10-15%が低下
3-5週間の安静で、筋力はおよそ50%が低下
と言われています。
他にも海外の研究では、
ベッド安静により筋力は1日1〜1.5%が低下
ギプス固定により筋力は1日1.3〜5.5%が低下
という報告もあります。
この数字から見るに、筋力が衰えるのは本当にあっという間だということが分かります。
病気や症状によって安静期間の必要性は変わってきますが、 例え10%でも筋力が低下したらそれを取り戻すのには倍以上の期間が必要です。
筋肉を使わないということがいかに大変なことがよく分かりますね。
中枢性筋萎縮、神経原性筋萎縮とは
廃用性筋萎縮は不動による筋肉の萎縮でしたが、神経原性筋萎縮は筋肉に指令を出す神経そのものから起こる筋萎縮になります。
脳卒中などの中枢神経障害による下位運動ニューロンの障害が重要な要因とされています。
下位運動ニューロンとは、脳から直接手足に神経が繋がっているわけではなく、その途中に中間地点があります。
その中間地点が脊髄になるのですが、脳から脊髄までを上位運動ニューロン、脊髄から手足までを下位運動ニューロンと呼びます。
これにより筋力の低下、攣縮、筋萎縮が発症します。
神経も栄養が供給されない状態や使われない状態が続くと、筋肉と同様に萎縮を起こすのです。
筋原性筋萎縮とは
筋肉そのものに構造上のあるいは機能的な原因があると、筋肉は正常に機能しません。
そのために筋力低下を起こし、種々の程度に変性を伴っていきます。
筋肉はいわばポンプのような働き方をします。
脳からの指令を筋肉の動きに変換するために、補給されているエネルギーを使いながら筋肉は収縮します。
脳からの指令が正常に来ていたとしても、筋肉自体がこのエネルギーの補給が不足する、エネルギーが補給されない、エネルギーをうまく活用できないと、人は動くことが出来ません。
加齢による筋萎縮とは
昨今、加齢に伴う筋萎縮はリハビリテーション業界でも奥の論文や研究が盛んであり、この加齢に伴う筋萎縮は「サルコペニア」としてまとめられています。
サルコペニアとは、加齢による様々な生理現象と生活環境の変化などの両側面から、高齢者の筋萎縮を説明したものになります。
廃用性筋萎縮とサルコペニアの違いとしては、廃用性筋萎縮では、収縮フィラメントの脱落やZ帯の配列異常、筋小胞体や横行小管の破壊など、筋原線維の微細構造に様々な変化が生じるのに対して、サルコペニアにおいては、筋原線維の配列異常や細胞内の構造異常は少なく、神経原性変化に見られるような小角化線維の増加や群集萎縮が特徴とされます。
また、廃用性筋萎縮では神経系には問題はないのですが、サルコペニアでは神経系の減少も見られます。
ちょっと難しい話になってしまいましたが、加齢によっても筋肉は萎縮するということです。
脳卒中患者の廃用の要因とは?
脳卒中は脳つまり中枢神経系の病気です。
今回挙げた筋萎縮の全てが要因になる可能性を持っています。
しかし、脳卒中患者の筋萎縮は、年齢や麻痺の重症度とはあまり相関がなく、反対に1日の歩数(活動性)と相関が高いことから、脳卒中患者の筋萎縮は廃用性筋萎縮が主要因となることが考えられています。
筋萎縮を防ぐためにはどんなリハビリをすればいいの?
最大筋力の20〜30%の筋収縮を行う
思いっきり力を入れた状態(これ以上出せないところ)を100%とし、そのうちの20〜30%分の筋力を発揮するようなトレーニングを行えることができれば、個人の持っている筋力は保持されます。
逆に日常生活での筋収縮が20%以下であれが筋力は徐々に低下し、絶対安静の状態で筋収縮を行わないでいると、1週間で10〜15%の筋力の低下を来すとされています。
腕よりも足の筋肉、曲げる筋肉よりも伸ばす筋肉が萎縮しやすい
筋萎縮による筋力低下の特徴として、手や腕の筋肉よりも足の筋肉の方が顕著に萎縮しやすいとされています。
さらに、手足ともに「曲げる」動きに使う筋肉よりも、「伸ばす」動きに使う筋肉の方が萎縮しやすいです。
つまり筋萎縮を防ぐためには、まず第一に「足」の「伸ばす」筋肉のトレーニングを優先することが良いかもしれません。
「足」の「伸ばす」筋肉は、お尻の筋肉、太ももの筋肉、ふくらはぎの筋肉です。
この3つの筋肉は、人体の中でも比較的大きな筋肉です。
これらの筋肉が機能しなくなると、姿勢の崩れる(猫背や円背姿勢を助長)、体力の低下と易疲労性などにつながる恐れもあります。
筋トレや運動の習慣がある方は、以上の3つの筋肉のトレーニングをぜひ行ってみてください。
今までに運動の習慣がない方は、まずは一つずつからでも大丈夫です。
細かい筋肉のトレーニングよりも、まずは大きな筋肉から行ってみてください。
歩くなら一日4,000歩以上を目指す
厚生労働省が定めている健康日本21によると、歩数について以下のように記載されています。
成人の日常生活における歩数の目標値
男性:9,200歩
女性:8,300歩
高齢者の日常生活における歩数の目標値
男性:6,700歩
女性:5,900歩
ただしこれはあくまで目安であり、実際にこのくらいの歩数を歩くとなると結構大変だと思います。
まずは無理のないところから少しずつ始め、徐々に距離や時間なども見ながら歩数を増やしていきましょう。
さらに廃用性筋萎縮を予防するために必要な歩数を調べた研究によれば、
4,000歩以下で筋断総面積が有意に減少しているとのデータがあります。
つまり、4,000歩以下では廃用性筋萎縮が進んでしまう可能性があり、4,000歩以上では廃用性筋萎縮を予防できる可能性を示唆しています。
歩行の量だけで筋萎縮と結びつけることはできませんが、目安にはなり得る数値かと思います。
今は万歩計などがなくても、スマホに元々歩数計がついているものも多いです。
気軽に歩数を調べることができますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
闇雲に歩くよりも、筋肉を萎縮させず維持していくためにも、ぜひこの数値を意識してみてはいかがでしょうか。
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