脳卒中後片麻痺に対する装具とは

脳卒中後片麻痺に対する短下肢装具

脳卒中を発症すると最初は弛緩性の麻痺を生じるが、次第に筋緊張や腱反射が亢進し、痙性麻痺へと移行していきます。

痙性麻痺により、下腿三頭筋や後脛骨筋などの痙縮があると足は内反尖足となり、歩いていてもつま先が上がらずに引っかかってしまうことがあるなど、歩行訓練や立位訓練などの際に大きな障害となります。

その状態が続くと筋肉の短縮や、関節の可動性の低下を伴い、伸ばすことが困難となってしまう場合もあります。

片麻痺の方によく見られる歩きの特徴として、内反尖足や膝折れ、反張膝などがあります。

これらは生活する上、歩く上で体を動かすことを阻害し、生活を困難にする恐れがあります。

出来るだけそういった症状や現象が出ないようにしようとしても、それらの現象は歩いていると勝手になってしまうものです。

つまり脳卒中発症直後より麻痺側肢を適切な肢位に保ち、関節可動域訓練や筋肉のリラクゼーションなどをリハビリの中で行い、変形を予防していく必要があります。

そこでほとんどの方が入院中に装具を作成し、治療用あるいは生活用として必要になるものとなります。

しかし、脳卒中のほとんどの症例では共同運動パターンの影響により、大なり小なり内反を伴うことがあるため、正しい歩行パターンの習得や予防に向けて装具が処方されます。

さらに、装具の目的はそれだけではありません。

装具には「装具を使う事でその人の機能障害の軽減」を目的にします。ですので様々な面で、装具には目的があるのです。

脳卒中片麻痺の装具の目的とは

1.変形の予防および矯正

片麻痺の影響により足首を動かすことが難しい、痙縮があるなどの症状がある方も少なくありません。

そういった症状が長い期間続くと、次第に関節は拘縮し、筋肉は短縮してしまいます。

それを予防する為にも装具は必要です。

自分ではなかなか足首や足の指を動かせなくても、装具を使う事で自然に足首の招きを助けてくれます。

2.変形部位の収納

すでに変形がある方にも同じです。

変形してしまったから装具は意味がないとはなりません。

変形してしまった足は痛みを起こしたり、更に変形を進行させるおそれがあります。

痛みがあっても、強い変形があっても、歩くことが困難になってしまう可能性があります。

それらを保護し、装具の中に納めることで周囲との接触刺激を抑制し、変形が進行しないように予防できます。

3.関節の固定

麻痺があり上手く力を出せない、足首が上がらずつま先を擦ってしまう、膝折れしてしまうなど、力の制御が難しく、歩きが不安定になってしまう場合に有効です。

装具によって足首や膝を固定し、歩きの中で転んでしまう危険因子を排除することができます。

4.関節の運動補助

装具にもさまざまな種類があり、プラスチックや金属で固定を主目的とするものもあれば、油圧や角度の調整が可能なものもあります。

そういった装具は油圧などの反発する力を利用し、自分だけでは出せない歩く力を補助してくれます。

こういったサポート機能を果たしてくれる装具もあります。

5.免荷

骨折などにより体重をかけてはいけない時期に使う装具です。

体幹に使うものや、足に使うものがあります。装具を使い直接骨や関節に負担をかけず、歩いたり生活する助けになってくれる目的を果たしてくれます。

装具にも種類が様々あり、身体機能や生活背景に応じてどの装具を処方するか検討します。

装具の使用に対してもメリットデメリットが存在しますので、十分に検討した上で装具を決定すると良いでしょう。

脳卒中後の歩き方から見た装具の適正

1.踵から接地できない場合

①つま先と踵が一緒に接地してしまう場合

原因:下腿三頭筋の筋緊張亢進、前脛骨筋などの足背屈筋収縮力低下

対応:足関節背屈補助、下腿三頭筋筋緊張の状態に応じて装具の矯正力調整

②足の外側から接地してしまう場合

原因:前脛骨筋の筋緊張亢進

対応:前足部内反矯正

③内反尖足となってしまう場合

原因:下腿三頭筋、後脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の筋緊張亢進

対応:足関節背屈補助、距骨下関節内反矯正

2.膝折れしてしまう場合

原因:大腿四頭筋収縮力低下、膝深部感覚障害、ハムストリングス短縮

対応:短下肢装具による膝アライメント調節、長下肢装具、膝装具

3.反張膝の場合

原因:大腿四頭筋収縮力低下、膝深部感覚障害、大腿四頭筋の筋緊張亢進、下腿三頭筋の筋緊張亢進、股関節周囲筋収縮力低下

対応:短下肢装具による膝アライメント調節、長下肢装具、膝装具

4.足趾が曲がってしまう(crow toe)場合

原因:足趾屈筋群の筋緊張亢進

対応:中足骨バー、中足骨パッドなど

まとめ

装具には様々な種類があり、個々の状態や状況に応じて適切な装具が処方されます。

歩き方からも装具の適正が確認でき、調整が可能な装具であれば麻痺の程度や状況に合わせて適宜調整するとよいでしょう。

脳卒中を発症してから長い経過をたどり、身体状況が変化していると装具が合わなくなる可能性もあります。

合わない装具で生活していると、変形を助長してしまったり、痙性を増悪してしまう恐れがあります。

装具をお使いの方は自分の装具が今の体に合っているか確認してもらい、必要であれば調整が図れるとよいでしょう。

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