リハビリの目標はどうやって決める?

脳梗塞や脳出血の後遺症からの改善を目的としたリハビリを日々提供しています。脳卒中の後遺症には様々な種類の症状があります。「半身麻痺」「感覚障害」「失語症」「痺れ」などなど。やはりその中でも最も多いものが、「半身麻痺」です。リハビリの目的は対象となる方によって異なりますが多くの方は、「麻痺した手足が動くようになりたい」「歩けるようになりたい」「〇〇ができるようになりたい」といった、「身体の動きの改善」を求めている方が多い印象です。脳梗塞後遺症がある方は、多かれ少なかれ同じような思いがあるのではないでしょうか。そのためにはリハビリを行う必要があります。厳密には、目的に則したリハビリを行う必要があるでしょう。

ここで一つ質問です。考えてみてください。皆さん、所謂リハビリと聞くとどんな事を思い浮かべますか?それは筋トレですか?マシントレーニングですか?ストレッチですか?歩行訓練ですか?おそらく、皆さんによっても思い浮かべる事が違う事でしょう。これまでに受けてきたリハビリや現在行っているリハビリがそれぞれ違うのだと思います。

この質問の答えには、正解はありません。厳密にはどれも正解であり、間違っていないのだと思います。しかし、それは「最適」でしょうか?リハビリは、ただやればいいわけではありません。先程もお伝えしたように、目的に則しているか考えなければいけません。

一度考えてみて下さい。筋トレを行っている方、目的を達成する、あるいは自分に不足している筋肉のトレーニンになっていますか?マシントレーニングを行っている方、そのマシントレーニングはどんなもので、どのくらいやればどんな効果が出るか知っていますか?何度も言いますが、これは間違いではないですからね。 どんなリハビリにも必ず意味があり、効果があります。

ただ一つ考えて欲しいのは、「どうせやるからには効果的な方がいいでしょ」ということ。意味もなく運動してはいませんか?何となく効きそうだからと思っていませんか?根拠なく筋力がないと決めつけていませんか?言われるがままにやらされていませんか?これは脳梗塞の後遺症に対するリハビリだけではなく、リハビリを行っているすべての方にとって重要なことです。

自分の身体のことを理解してほしい。専門的な知識は、それを生業としている理学療法士や作業療法士がいます。医学的なことであれば主治医がいます。全身の状態管理が必要なのであれば看護師がいます。あまり難しく考えなくてもいいと思います。理解すると言いましたが、まずは考えることが大切です。リハビリは継続と積み重ねが重要です。漠然としたトレーニングの積み重ねではありません。 目的に対し、必要な動きを積み重ねます。病気や怪我を患うと、元の生活に戻りたい思いから焦りが生じます。焦りは、周りの情報を遮断し、目の前のことしか考えられなくなってしまいます。しかし焦りは禁物です。焦っても何もいいことはないでしょう。むしろそんな時だからこそ、ゆっくり自分のことを考えて欲しい。

もしかしたら答えは出ないかもしれません。それでも「考える」ことは、自分の身体を知るきっかけともなります。自分の身体を知ることは、自分の弱点や苦手としている動きを気付かせてくれるかもしれません。なぜ出来ないのか?どうしたら出来るようになるのか?そんなこと言われなくても考えているという方はごめんなさい。それでも、脳梗塞の後遺症からの改善を図るにはすごく重要なことなんです。苦手を克服するには、まずは自分を知ること。改めて考えてみると、思わぬ自分がそこにあるかもしれません。今までは気が付かなかった自分がいるかもしれません。「リハビリ」とは、それらを探す糸口の役割でもあります。

だから日々の継続や積み重ねが重要なんです。身体を知り、その身体がどう変化しているのか。何を積み重ねなければならないのか。常に「考え」、それを「実行」する。考えなく実行だけしていくのは限界があります。何を実行するのか。どれだけ実行するのか。いつまで実行するのか。実行したら何になるのか。せっかくリハビリしているんです。「少しだけ考えて」みて。一歩進んでみてもいいのではないでしょうか。違った景色がみえるかもしれません。いまやっているリハビリやこれまでにやってきたリハビリが正しいことで少し自信がつくかもしれません。方向転換するいいキッカケになるかもしれません。よろしければ、是非考えてみるのも悪くないですよ!

ではここで、リハビリの目標設定でも使える「SMARTの法則」についてお伝えします。皆さんはSMARTの法則って聞いたことはありますか?この法則は目標設定をする上でとても重要になってくると言われています。 

リハビリでも目標設定は重要!

何をするにも目標があるのか?それとも何となくやるのでは、得られる効果は全く変わってきます。リハビリでも同じです。何となく筋力トレーイングを行っていると継続するのが難しかったり、十分な効果も得られなくなってしまいます。そこで今回ご紹介するSMARTの法則を考えてリハビリを行う事が重要なんです。

SMARTの法則

SMARTの法則は5つの成功の要素を頭文字で表したものになります。その5つの要素とは以下の5つです。

Specific(明確であること)

Measurable(測定可能であること)

Attainable(達成可能であること)

Realistic(現実的であること)

Time-bound(期限があること)

◆ Specific(明確であること)

目標を明確化にするのはとても重要です。例えば、リハビリでも「歩きが良くなる」ではどの程度か分かりづらいですよね。目標を明確化にするとこうなります。

・週2回のカラダの先生でのリハビリを

・2か月間行う事で

・装具なしで自宅内生活が出来るようになる

目標が明確化になるだけでまるで何をすれば良いかが具体的になりますよね。目標は明確化になるように設定しましょう。

◆Measurable(測定可能であること)

目標は測定可能である必要があります。例えば、歩けるようになるのが何メートルなのか、歩行のスピードはどのくらいか、など。現在の自分の位置やゴール地点の位置が「見える化」されているとモチベーションが高まります。

◆Attainable(達成可能であること)

目標は高すぎてしまうとモチベーションが下がってしまい課題を継続する事が困難となります。ギリギリ達成できるくらいの目標だとモチベーションが高まりやすいと言われています。 

◆Realistic(現実的であること)

達成可能と同じような意味と思われる方もいるかもしれませんが、現実的には自分の意志で行いたいか?誰かに言われたからでは、継続する事は出来ません。リハビリでも自分が良くなりたいと強い意志を持っている方ほど良くなる傾向があります。

◆Time-bound(期限があること)

人間は何をするにも後回しにしてしまいがちです。そのため、期限を設定する事で〇〇日まで〇〇を出来るようにする。など具体的な期限を設けましょう。

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