被殻出血と視床出血

こんにちは。カラダの先生の森です!今回のテーマは「被殻出血」と「視床出血」について。

脳出血の中で最も多いとされる2つですが、その症状は同じではありません。脳にはそれぞれ役割、機能があり、脳卒中においてどこの部位、血管が損傷するのかによって、症状が異なります。当然、「被殻」と「視床」も全く役割が異なってきます。

そこで今回はその2つの脳出血について少しまとめて見ました。

被殻出血

まずは脳出血の中でも最も多いとされる、「被殻出血」について説明していきます。被殻出血は高血圧性脳出血の代表的な病型として位置づけられています。脳出血の中で最も頻度が高く、脳出血全体の約40%前後とされています。発症者の平均年齢は55~60歳で、視床出血と比較するとやや若いのが特徴です。性別は女性より男性の方が多いとされています。

被殻出血の症状

・意識障害

・片麻痺

・半側感覚障害

・中枢性顔面神経麻痺

・同名半盲

・共同偏視

・半側空間無視

・失語症

意識障害は血種の大きさや出血が脳室に穿破しているかどうかが関連します。運動麻痺、感覚障害は被殻のみの出血では起こりません。しかし、被殻出血では「内包」と呼ばれる手足の運動に関わる場所に出血が進展されることがよくあります。そのため運動麻痺が起こるとされています。運動麻痺は足よりも手や腕の方が出やすく、肩など上腕よりも、指先の方に麻痺が起こりやすいとされています。

また、出血に伴う合併症として、脳ヘルニア、水頭症などがあります。医学的な治療としては、再出血の予防を考えます。そのため、血圧管理や脳浮腫への対応は必須です。

リハビリでは、出血の量や出血箇所による症状を精査し、片麻痺、感覚障害、顔面神経麻痺、同名半盲、失語症などの症状を見極める必要があります。運動療法では血圧の管理を怠らず、再出血しないようリスク管理も必要となります。視床出血に比べ、若干予後は良いとされていますが、症状は様々であり、個人によるところがあります。それぞれの状態に則したリハビリが必要になるでしょう。

視床出血

脳出血では出血する場所にとって症状が異なります。それぞれに特異性があります。続いては「視床出血」について説明します。視床出血とは、脳出血の中でも視床出血は全体の25~30%を占めており、被殻出血に次いで多い脳出血となります。発症の平均年齢は60-65歳であり、症状は被殻出血よりも不良との報告もあります。

視床出血の症状

実は、視床「のみ」出血した場合では、運動麻痺は起きないとされています。では、なぜ視床出血で麻痺が起こるのでしょう?それは、脳の中の視床のすぐ近くに「内包」という場所があります。内包に手足を動かす神経が通っているため、視床出血により血種が内包にも進展していると、運動麻痺がおこるのです。

視床自体の固有の症状としては、

・感覚障害

・不随意運動

・高次脳機能障害

・記憶障害

・交感神経障害

などが挙げられます。

とくに感覚障害では、触られた感覚などよりも痛みや、体重がかかっているかなどの感覚が障害されやすいことが特徴です。不随意運動とは、何もしていなくても手が震えてしまったり、動かしたときに震えてしまうような症状です。舞踏病様、アテトーゼ様の、または企図振戦や失調を伴う不随意運動が出現することもあります。この「感覚障害」と「不随意運動」がどの程度出現しており、どの程度回復を阻害するものなのか見極める必要があります。片麻痺に加え、これら視床出血の特異性を踏まえた上で、リハビリを進めていくことが重要になります。

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