パーキンソン病とは?【病理、症状、リハビリテーションについてまとめました】

いつもご覧いただきありがとうございます。

カラダの先生ブログです。

本日のテーマは「パーキンソン病」について

皆様も一度は名前を聞いたことはある病気かと思いますが、詳しいことは知らない方が多いでしょう。

今回はこのパーキンソン病について詳しく解説して行きます。

このブログはこんな方に読んでほしい!

・パーキンソン病の方
・家族や身の回りにパーキンソン病の方がいる方
・パーキンソン病について知りたい方
・リハビリテーションに関わる方

パーキンソン病の疫学

発症年齢:若年から老年まで分布(40歳以下での発症は若年性パーキンソン病と呼ばれる)、50-60歳代に発症することが多い

性別差:特になし

遺伝性:通常は特になし

有病率:10万人あたり100-150人程度とされる。高齢になるほど有病率が急速に高くなる傾向。高齢者の人口比率上昇に伴って漸増傾向

その他:神経疾患の中では、脳卒中、アルツハイマー型老年認知症についで多いとされる

パーキンソン病の病理

病理学的変化:中脳黒質ドーパミン性動性のメラニン色素含有神経細胞の変性、脱落

肉眼的変化:中脳黒質と橋の青斑核の脱色素

顕微鏡学的変化:同部の色素含有細胞減少、神経細胞質内にレヴィ小体の出現

臨床的変化:安静時振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害の4主徴

病態生理

神経伝達物質であるドーパミンは、中脳黒質緻密部の神経細胞内で生成され、黒質線条体ニューロンの軸索を流れ、大脳基底核の線条体に蓄えられ、必要に応じ放出される。

大脳基底核は視床を介して大脳皮質とループ回路を形成しており、興奮系のニューロンと抑制性のニューロンにより神経回路の調整が図られている。

大脳基底核の主な機能は、必要な運動のみ引き起こし不必要な運動を抑制するという運動の選択にあると考えられている。

パーキンソン病では、黒質緻密部の変性によりドーパミン生成が減少する。

線条体(被殻と尾状核)がドーパミン欠乏状態に陥り種々の運動症状が発現する。

簡単にまとめると、パーキンソン病とは中脳黒質のドーパミン作動性神経細胞の変性脱落によって、神経終末がある線条体でドーパミン不足を来たし、錐体外路性運動障害が出現する変性疾患

パーキンソン病の原因

脳の老化と密接に関連した疾患であるがその原因は不明

パーキンソン病の予後

パーキンソン病患者の生命予後は、一般人口に対して死亡率が約3倍高いとされてきた。

しかしL-dopa療法導入以降の統計によると生命予後の差はないとされている。

L-dopa療法を早期に開始した患者の方が生命予後も良い。

長期に渡ってstageⅡに留まり、廃用による合併症や二次的障害が少なくなり、天寿を全うすることもある。

患者や家族への本疾患の予後については、日常生活の活動を正常に行っていれば良好である。

パーキンソンニズムの分類

特発性パーキンソンニズム
・パーキンソン病
・若年性パーキンソンニズム

症候性パーキンソンニズム
・脳血管性パーキンソンニズム
・薬剤性パーキンソンニズム
・中毒性パーキンソンニズム
・外傷性パーキンソンニズム
・脳炎後パーキンソンニズム
・正常圧水頭症
・その他

パーキンソン、プラス症候群
・進行性核上性麻痺
・大脳皮質基底核変性症
・線条体黒質変性症
・びまん性レヴィ小体病
・その他

パーキンソン病の症状

安静時振戦
・丸薬丸め運動(pill-rolling)
・歯車様固縮(lead pipe phenomenon)
・鉛管様固縮(cogwheel phenomenon)
・意図運動速度遅延
・意図運動遂行遅延
・動作振幅現象
すくみ足(frozen gait)
小刻み歩行
突進現象
・加速現象
・矛盾性運動(kinesis paradoxale)
・adiadochokinesis
・前傾姿勢
・体幹前屈位
・頚部後屈位
・四肢関節軽度屈曲位
無動
・寡動
仮面様顔貌(mask like face)
・脂漏性顔貌
・唾液過多
・一点凝視
・瞬き現減少
・開眼失行
・Myerson徴候
・小声
・速口
・擦れ声
・吃音
・小字症
・嚥下障害
・起立性低血圧
・便秘
・排尿困難
・尿失禁
・陰萎
・精神活動遅延
・想起障害
・認知障害
・不安
・抑うつ
・焦燥感

※全てが症状として現れるわけではありません。個人差もあります。

パーキンソン病の4大徴候

振戦 tremor

まずは安静時振戦

これはパーキンソン病における唯一の運動過多症候です。

筋が収縮していない安静時に最も目立つ振戦
・拮抗筋同士が5Hz前後の律動的な相互収縮
・指先では丸薬を丸めるに擦り合わせる動きが出現(丸薬丸め運動)
・一側手指、対側手部、一側足部、対側足部という経過で波及する
・信仰と共に舌、下顎、口唇、頚部、前腕、下肢にも出現

症状は振戦部位の随意運動により軽減ないし消失する

振戦のない部位の運動や心理的負荷で増強する

直接的な日常生活活動の障害にはなりにくいとされています。

固縮 rigidity

次いで四大徴候の一つである固縮について

固縮は筋トーヌス異常の一つで、伸張反射の亢進状態を示すものです。

腱反射では、筋伸張の速度に比例して反応する相動的伸張反射(tonic stretch reflex)であり、その亢進が痙縮となる。

筋固縮では、伸張される長さに比例する形で筋収縮が起こり持続性伸張反射(tonic stretch reflex)と呼ばれる。

四肢を受動的に屈伸して筋肉を引き伸ばした結果起こる反射性筋収縮

筋固縮の評価は、筋肉の伸張を余り速く行わないことが重要となる。

パーキンソン病を鑑別する上でより重要な点としては、筋固縮の分布になります。

全身に分布、四肢では屈筋や内転筋に強い傾向があります。

固縮が見られやすい筋としてゃ、頚部筋、上肢の回内筋、手指屈筋などが挙げられる。

一般に伸筋よりも屈筋の方がトーヌスがより高い。

筋固縮の本来の特徴は、鉛管現象である。

鉛管様固縮:他動運動に対して運動の初めから終わりまで同じ様な強さで、まるで鉛管を曲げる様な抵抗感のある状態

歯車様固縮:同様にガクガクという感じの律動的な抵抗感のある状態

筋固縮の本来の特徴はあくまで鉛管現象であり、歯車様現象は筋固縮に振戦の要素が加わった状態である。

無動 akinesia

パーキンソン病における無動、寡動とは日常生活の中で行う種々の単純動作や複雑動作の障害として現れます。

中核的な症候は動作緩徐

運動開始までの反応時間の遅れや反復運動による疲れ、運動遂行の遅れ、同時に二つの動作が困難になるなどの徴候を全て含めて判断することが多いとされています。

パーキンソン病では単純反応時間が遅延しており、動作の開始が遅れるこれらの特徴は、目的とする運動に必要なだけの十分な筋力を要求される時間内に出すことができない状態である。

運動的側面としては、
・運動減少、緩慢、動作切り替え困難、すくみ足現象などの総括的症候
・反復した動作ではリズム形成障害

精神的側面としては、
・表情がなく、仮面様顔貌、抑うつ的、何事にも消極的
・自発的行動が見られなくなる
・精神活動の緩慢
・周囲に対する興味や注意の切り替えが行えない
・系列的に物事を考えて行動することも困難
・無動は終日変化のない場合や日内変動が大きい
・on-off現象
・wearing-off現象

無動の症候
・運動遮断:動作を意図してもできなくなる
・体軸失行:主に長軸での回旋運動障害
・すくみ足:歩行開始時の踏み出しや方向転換が困難
・歩き出し:加速歩行、突進現象を修正できずに転倒しやすい
・小刻み歩行:歩行の開始や方向転換が困難
・すくみ手:書字が困難
・小字症:細かい手指の巧緻運動障害、細かく不揃い
・開眼失行:閉眼から開眼できない
・すくみ言語:ゆっくり、リズミカルな発音が話しやすい
・言語機能:単調、低音、小声、早口、加速言語など寡動による異常
・日常:衣服の着脱に時間がかかってしまう
・呼吸機能:拘束性換気障害、咀嚼、嚥下機能にも障害が進行する

姿勢調節障害

特徴的な姿勢としては、体幹前屈、前傾、肩関節内転、肘関節屈曲、手関節屈曲、手指屈曲、股関節屈曲、膝関節屈曲と、いずれも屈曲方向に特徴的である。

外力刺激にほとんど無防備である。
・突進現象:前後左右からの外力に対して同じ方向へ足を踏み出して突進する
・彫像現象:障害の程度が強くなると、軽く押されても棒や彫像の様にその場に倒れてしまう

立ち直り反射障害により、抗重力姿勢の維持や寝返りなどの回旋運動が困難になる。

姿勢調節をアクティブに行えない。

パーキンソン病の評価

まずはパーキンソン病の重症度は簡易的に分類付けできる、Yahrの重症度分類と呼ばれるものが一般的

Yahrの重症度分類(Hoehn Yahr,1967)

StageⅠ:一側性障害で体の片側だけの振戦や固縮を示す。軽症例。

StageⅡ:両側性の障害で、姿勢の変化がかなり明確となり、振戦や固縮、寡動、無動共に両側にあるため、日常生活がやや不便。

StageⅢ:明らかな歩行障害が見られ、方向転換の不安定など立ち直り反射障害がある。日常生活動作の障害もかなり進み、突進現象もはっきりと見られる。

StageⅣ:起立や歩行などの日常生活動作の低下が著しく、労働能力が失われる。

StageⅤ:完全な廃疾状態で、介助による車椅子移動または寝たきりとなる。

一次的症候の検査としては、振戦、固縮、無動、リズム形成障害、姿勢調節能力、精神機能、自律神経障害を評価

二次的障害の評価としては、関節可動域、呼吸機能、筋力、日常生活動作、精神機能、痛みなどを評価

パーキンソン病に対する理学療法

理学療法の目的

パーキンソン病に対して理学療法を行います。

その目的としては、機能訓練により現在の能力を最大限に引き出すこと。

できるだけ長期に渡って運動機能を維持し、心理面や日常生活動作指導などにも配慮して、二次的障害の予防により、少しでも長く有意義な生活を続けることをサポートして行きます。

そしてその手段として代表的なものが運動療法になります。

運動療法の目的

・関節可動域の維持及び拡大
・筋力強化
・全身のリラクゼーション
・呼吸訓練
・頚部や体幹の回旋向上
・バランス機能向上
・歩き方の改善
・日常生活動作指導

これらは一次的障害、二次的障害のいずれにも、全身状態や進行具合により行われます。

しかし筋力訓練や歩行訓練などのやりすぎには注意が必要です。

運動器を使いすぎる、筋の脱力、腱や靭帯が過度に伸ばされて障害が起こるなどの、過用症候群には気をつけましょう。

適度な量とやり方を担当の医師や理学療法士と相談しながら実施することが望ましいです。

また、パーキンソン病独特の運動障害による廃用症候群や心肺機能の予備機能の低下、神経疾患に伴う合併症予防などにも注意しながら取り組むことが良いとされます。

そして前述したYahrの分類の程度からもある程度の運動療法の指針が決まってきます。

・Yahrの分類StageⅠ-Ⅱ:運動は自主的に行う
・Yahrの分類StageⅢ-Ⅳ:全ての運動を行う
・Yahrの分類StageⅤ:関節可動域訓練や日常生活動作指導が中心

Yahrの分類Ⅰ-Ⅱ

職業を有する方は可能な範囲で職業を継続しましょう。

リハビリ以外での屋内または屋外での歩行や運動も当然良いとされます。

家族のいる者には簡単なスポーツや布団の上げ下ろし、買い物、草むしり、庭木の手入れなどの自宅でのホームプログラムを実行。

日常生活は出来るだけ活動的に継続します。

パーキンソン病だからといって安静や動かないことは逆に二次的障害につながる恐れがあります。

リハビリはリハビリ室で行うことのみがリハビリではありません。

こういった日常生活動作の一つ一つが活動、運動になります。

Yahrの分類Ⅲ-Ⅳ

まずはYahrの分類Ⅰ-Ⅱの訓練内容を踏まえましょう。

その上で運動療法に取り組んで行きます。

運動療法

・積極的な手足の関節可動域訓練
・随意的な運動範囲の体幹伸展または回旋運動
・深呼吸
・バランス訓練
・廃用性筋力低下を認めれば積極的運動

日常生活動作

・介助はできるだけ控えて自立を保たせる
・日課を決め、リズムのある規則正しい生活を営む
・生活の中に役割を持たせ、満足感や自信を与える

歩行訓練は、体幹の前屈、加速現象、すくみ足に対して行います。

外界刺激が効果的であり、目前の障害物や床の線、階段などの視覚的刺激や、他人の掛け声やメトロノームの音などの聴覚刺激が効果的とされています。

また長期間の前屈姿勢は腰痛や膝関節痛などの二次的障害につながる恐れもあるため、腰痛体操や大腿四頭筋のエクササイズを行いましょう。

転倒の恐れがある方は杖の使用や屋内環境の整備が必要になります。

上記以外にも、書字訓練、発声訓練なども良いとされています。

Yahrの分類Ⅴ

このステージでは日常生活動作はかなりの介助を要する状態となります。

車椅子での外出や、残存機能を使用した訓練を行い、全介助や寝たきりを予防しましょう。

褥瘡や尿路感染、呼吸器感染なども合併しやすくなりますので、これらが発生した場合は速やかに対処します。

体の硬さによって発生する可能性が高まりますので、他動的な関節可動域訓練などで体の柔軟性を維持しましょう。

リハビリテーションのまとめ

パーキンソン病は進行性の病気であるため、その進行具合や身体機能をその時々で適宜評価し、程度に応じてリハビリテーションプログラムは変更していく必要があります。

また、軽症例であっても潜在した障害への対策や障害の予防に配慮していく必要性も考えていくことが必要になります。

パーキンソン病は薬物療法のみ、あるいはリハビリテーションのみでは、臨床症状や運動機能の維持は困難とされており、どちらも重要な治療です。

運動してれば薬は飲まなくていい、薬を飲んでいるからリハビリはやらなくていいではなく、どちらも重要だということは知っていて下さい。

出来るだけ個人の判断ではなく、担当の医師及び理学療法士と相談しながら進めて下さい。

最後に

いかがでしたでしょうか。

長々と書きましたが、パーキンソン病の方、家族や身の回りにパーキンソン病の方がいる方、パーキンソン病について知りたい方の少しでも参考になれば幸いです。

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